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*罪と罰* アーヴィング・フォルド・ヴァレリアの独白
著:六道来飛
「アーヴィング…どうして……」

グラブ・ル・ガブルの最深部にて、私の行動が分からないのだろう
アシュレーが問いかける。

「すべてはファルガイアを守る為だ…」

果たしてそうなのか…?

カイバーベルトの侵入をいち早く知った私は、ありとあらゆる手段を用いて
その侵攻に対抗するべく準備をして来た。

私がアガートラームを手にしていれば…
そう思った事も一度や二度では無いが、今はこれで良かったと思っている…

あの日―――――

カイバーベルトの存在を確信したあの日…
対抗するには焔の厄災を封じた聖剣『アガートラーム』が必要不可欠であろう…

そう判断した私は剣の大聖堂へ向かった。

アガートラーム…かつて焔の厄災ロードブレイザーに壮大な威力を放った伝説の聖剣…
使い手もろとも地平に封印し、以後何人足りともその身を委ねなかった魔性の聖剣…
剣の聖女の直系たる子孫でさえも手にする事が適わなかった孤高の聖剣…

どんな事をしてもこの剣を手にしたかった。
私が新たなる伝説の剣の聖女と成り得る為に…

…だが私の浅はかな考えを読み取ったのか、アガートラームは私を激しく拒絶した…
私の思い上がった気持ちを諌める為か、足の自由を奪って…

――私はアガートラームに認められなかったのだ――

気が付けば私はシャトーの自室のベッドに居た…
側には私の双子の妹−アルテイシア−が目を赤く染めて、私の顔を覗き込んでいた。
私が剣の大聖堂に居る事を知らせたらしい…

私とアルテイシアは同じ星の下に生まれた為か、お互いの状況が「視える」時がある。
この日も誰にも行き先を告げず、丸一日帰らなかった私を「視た」のだろう。

「兄さまが伝説の剣の前で倒れているのが視えた時、心臓が止まる思いでした…」

この状況が分からないであろう兄に妹が告げる。

私がアルテイシアを置いて先に逝く事など無い―――
思えばそう確信したのがこの時だったのかも知れない…

「心配をかけたな…所詮私には扱う事が許される剣では無いのだろう…」
恐らく純粋で無垢な心にのみ、その力を託す…

そう言った時、ふと「アルテイシアなら…あるいは…」

同じ血肉を分け合った兄妹でも心に持つものまでが同じとは限らない…
私には無い純粋で無垢な心…

「兄さまのお役に立てるなら、私どんな事でも致します」

私の呟きを聞いてアルテイシアがそう答える。
確かにアルテイシアの持つ心ならばアガートラームも呼応するかも知れない…
だが自分の意志で無いなら…私と同じ道を歩む可能性の方が大きい…

「お前を失いたくは無い…その気持ちだけで十分だ」

何より私に扱えなかったアガートラームを、アルテイシアが振るう事によって
自分の妹に嫉妬などしたくは無い。

何故――こうも私と妹は違うのだろう…

人を疑う事を知らず、誰からも愛されるアルテイシア――
それに対して私は――誰も信じ受け入れようとはしない…たった一人の妹を除いて――

誰も信じないが故に対カイバーベルト計画は秘密裏に進められた。

まずはファルガイアに活きるすべての心を一つにしなければならない…
主力国家の統一も果たせていないのに、どだい無理な話しであろう…

そんな時知り合ったのがオデッサ率いるヴィンスフェルトだった。
彼らの理想は理解出来る。だが押し付けるだけの支配は人々に不信感を与える。
それでも一時的になら一つに纏める事が出来るであろう…
そう考えた私は彼らに軍資金と一つの『鍵』を渡した

魔鍵ランドルフ――異界より異なる生命体を召喚し人々の肉体を奪わせる
禁じられた降魔儀式を扱う事が出来る鍵となるアイテム。

この魔法なら手勢を増やすと同時に人々に恐怖を与える事も出来る。
手っ取り早く事を進めるには致し方ない事だ。
むしろ多少の犠牲は覚悟の上でなければ、この計画を進めて行く事など出来ない…

そうしてオデッサに行動の機会を与えておいて
もう一方でそれに対する組織を作る事にした。

ヴィンスフェルトの理想は理解出来るが、それに共鳴する事は出来ない…
むしろ、その押さえつける力に反発する力が主要と成り得るだろう…

オデッサは餌に過ぎないのだ。

ヴィンスフェルトが手駒の一つと知ったら、私を殺しかねないだろう。
それでも私はこの方法を取らざるを得ない…
選択肢はそれほど多く用意されてはいないのだから…

ヴィンスフェルトの幹部の一人に魔力に優れた者が居る事を感じ取った。
彼ならば魔鍵ランドルフの力を遺憾無く発揮出来るだろう。

実験の為に場を指示する。
近々行われるメリアブールのARMS部隊就任式会場「剣の大聖堂」だ…
私は成果を確かめるべく現場へ向かった…

そこには…理性を失った人々が魔物へと姿を変え、殺戮を続けていた。
実験の成果としては十分すぎる程だ…それどころか思わぬ人材を入手出来た。

アガートラームを抜いた青年が居たのだ。

魔物に姿を変え、理性を奪われた中で、その内なる呼びかけに抗い
何を願って手に掛けたのか…

アガートラームは青年の願いに応え、その力で自らと自らが封印した異形の存在を
青年の内的宇宙に封印した。

彼がオデッサの強敵となるには間違いないだろう…
否――彼こそがカイバーベルトに対峙する事が叶うだろう。

「……誰………だッ…………」

正気を取り戻した彼が問う…

「私は…アーヴィング…アーヴィング・フォルド・ヴァレリア。お前という十字架を背負う男だ!
私の手を取るが良い…この絆は過去から未来に続くたったひとつの可能性…
言い替えるならこの世界の上で私たちが出逢った『運命』そのものなのだ!」

こうして私はアシュレー・ウィンチェスターを得る事が出来た。

アシュレーを交えてオデッサに対する力を一から発足するには時間が掛かり過ぎる。
あらかたの人材の目処も付いているので、先程壊滅したARMS部隊を買取り
組織としての第一歩を踏み出す事にした。

この時、少なからずアシュレーに嫉妬していたのだろう…
ARMS候補の一人と引き合わせる為に彼を陥れ、イルスベイル監獄島へ乗り込ませた。

いくら演技とはいえ、いきなりこんな場所へ訳も分からず放り込まれれば怒るだろう…
案の定、無事合流を果たしたアシュレーに力一杯殴られた…

「あなたが人の上に立つ指揮官というのなら、まず人を――仲間を信頼するんだッ!
今度、僕たちをチェスの駒のように扱ったら絶対に許さないッ!!」

「そうだな、心がけるようにしよう…」

誰も信じられない私の心を見透かした様な台詞に耳が痛む…

そんな彼だからこそ選ばれたのかもしれない…
アシュレーの相手を想う気持ちこそがファルガイアを一つに纏める事が出来るだろう…
彼らを短時間で成長させるには圧倒的な力で立ち向かう「敵」が必要だ。

そう…「オデッサ」

彼らを解してARMS部隊を強化させる。
その為にもARMSの行動をオデッサに知らせなくてはならない…

彼らもまた手駒の一つだと知ったら…
私を詰り、嘲るだろうか…

そう考えると心が痛む。彼らと関わる事で私の心にもようやく罪悪感が芽生えたのか…
私とてこの様な手段を使いたくは無かったと考える様になった。

だが時は回り始めた。ついにカイバーベルトの侵食が目に見えて始まったのだ

形の無いカイバーベルトを様々な手段で具現化し一度は捕らえる事が出来たが
それは奴の抜け殻でしか無かったのだ…
完全に捕らえておける「オリ」が必要だ…強靭で逃れる事が叶わない「肉体の器」

どんな器でも良い訳では無い。
アシュレーの様に純粋で無垢、加えて頑固たる意志を持つ者――
そして「剣の聖女」の血を持ってすれば…

無論私には純粋で無垢な心など持ち合わせていない…
何より術者自らに召喚する事は出来ない。

となると選択は一つ…アルテイシア!

…これが私の罰なのか?
人々を駒の様に動かし、己一人の力でファルガイアを救えると考えた私のへの償うべき罪なのか?

私自身に還って来る罰ならばいくらでも受け入れるつもりだった…
それが…私にでは無くアルテイシアに降りかかるというのか…?

だが、これまでと同様に私は選ばなければならない。
今までと同様に…散っていった命の為にも、今この機を逃す事は出来ない…

その夜、ARMS部隊に最後の指令を残して
私はアルテイシアと共にグラブ・ル・ガブルへ向かった…

アルテイシアは恐れる事なく自分の役割を理解し、その身を捧げると言った。
カイバーベルトをその身体に宿すには奴が潜むファルガイアの中心へ赴かねばならない。

――グラブ・ル・ガブル――

ファルガイアの生きとし生けるものの祖となるガーディアン。通称「泥の海」
この最深部にカイバーベルトが潜み侵食し続けている。

ここでアシュレー達が私を追いかけて来るのを待つ。
確実にカイバーベルトを屠るには具現化してすぐでなければならない。
その為にも彼らの目前で降魔儀式を行なう必要があるのだ。

彼らに与えた最後の指令…

モンスターの異常発生の調査だったが、そこにあるのはヘイルダム・ガッツォー…
オデッサ・ヴィンスフェルトの墓標となった空中要塞の残骸だ。

そこでARMS隊員が目にするもの――オデッサの資金源である、この私の名前。
今まで私を頼って、信じてくれたARMS隊員を裏切る行為。

彼らはその真実を問いただしに来るだろう。
このファルガイアの最深部まで…
そうして彼らは来た…私と私の妹の最後を見取る為に…

「アーヴィング…どうして……」アシュレーが問いかける。

「すべてはファルガイアを守る為だ…」

確かにファルガイアを守る為であった…
だが今となっては生まれ落ちた日から同じ時を刻む私の半身と共に
刻む時を止められる事の喜びが勝っている。

ファルガイアの空を喰ったカイバーベルトを一人の身体に捕らえる事は容易では無い。
だがアルテイシアの身体に捕らえる時、側に居る同じ血を持つ私の身体をも糧とすれば別である。
半分ずつだった私達の身体が一つになるのだ…
そうして後はカイバーベルトと共に滅びの道を進めば良い。

もし私がアガートラームを手にする事が出来たなら…
アルテイシアを置いて先に逝く可能性の方が高かった。

だが今は…同じ時を止めようとしている。これで良かったのだ。
例えヴァレリア家の血筋が途絶えたとしても、今では新しい英雄達が居るのだから…

「アルテイシア…恐いか?」

「いいえ…兄さまと一緒に逝く事が出来るから」




――願わくば…私達の取った行動を、剣の聖女が悲しまぬ様に――

今回この様な話を書きました理由はWA2をプレイしてなんだかアーヴィングに躍らされていただけ?な印象を強く受けまして…
彼もこれだけ悩んでの行動だったんだよ。というのを書いてみたかったんですが…
何だかヴァレリア兄妹ラヴラヴな話しに仕上がっちゃいました(爆)
ちなみに記憶の中で書いていますので間違いがあったら多めに見てやって下さい
状況説明が前後して読みにくい部分が多々あるかと思いますが、なにせ初めての試みでしたのでお許し下さい。
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かえる急便@管理人:都深野 恵/動作確認:Internet Explorer6.0