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*「絶対たる力」を求めて* 出会いと別れ
著:六道来飛
ずっと気になっていた…
あの魔族の剣筋を見た時から、一つの疑問が浮かんでいた

あの日…アークティカが滅びた日

俺は不覚にも生き残ってしまった…
国と一緒に滅びるつもりは無かったが仲間と共に…
アイツと一緒になら滅びても構わないと思っていた

だがアイツは自分の身を犠牲にして俺を助けるべく
あの白い魔族に一人で立ち向かって行った
アイツを困らせない為にも俺は走るしかなかった…吹雪の中を

そして生き残ってしまった

魔族の復活、そしてアークティカが滅びた事を俺は世界に伝えなかった
アイツの言葉を裏切る事になるが、伝えたところで誰も信じる訳が無い

帰る場所も、名前も、愛する者さえ失ってしまったのだ
これ以上失うものなど何も無い
世界がどうなろうと俺には関係無かった

ただ…ヤツらに復讐したかった

その為には「絶対たる力」が必要だ
それが何かは分からないが、その力があれば復讐出来る…
みんなの仇を取れる…

そう思ってアークティカを後にし旅立った
一匹の相棒と共に…

あの忌まわしき日からニ年ほどが経っただろうか?
「記憶の遺跡」と呼ばれる場所で「絶対たる力」と思われる情報を手に入れた
場所は「光の国」…相棒によるとそこは「アーデルハイド王国」

今現在王国と呼ばれるのはこの国だけになった
アークティカと並び1000年の歴史を持つ国
それだけの歴史がある国ならば期待出来る

さっそくアーデルハイドへ向かい情報を仕入れる事にする

そこで出会ったのが若いガンウォーリアと、高い素質を持つクレストソーサレスだった
彼らはモンスターが出現した遺跡の発掘調査の依頼を受けたらしい…
場所は「リリティアの棺」

記憶の遺跡でエルゥが語った「絶対たる破壊の力」がそんな名前ではなかっただろうか?
彼らも人手を募っていたので行動を共にする事にした

果たしてそこには俺の求める「絶対たる力」は無かった

機能が停止したゴーレムが一体…

これほど大きな力を使いこなせるはずが無い
なにより動かないのでは意味が無かった

それは1000年前の魔族との大戦に勝利したエルゥが
緑の残る大地をその魔導技術で異世界へと孤立させ、このファルガイアの地を去った時に
大戦に使用したゴーレム全てに封印を施して行ったと言う

今の人間の力では覚醒させる事は不可能に近いだろう

それでも、ゴーレムの構造の謎を解き明かそうと多くの研究家が居るのだ
俺達の依頼人もその内の一人…さっそくゴ−レム発見を報告すると
早速引き上げ作業が始まった
翌日に開催を控えている「古代文明博覧会」に展示する為だ

依頼料もその時受け取る事になっていた
だが、この日ついに魔族が表だって攻撃を仕掛けて来た…

ヤツらはアーデルハイドの町を焼き、女王の心臓を封印しているガーディアン像を破壊し
この国に代々伝わる「なみだのかけら」を奪って行った

「なみだのかけら」は生命の源となる力を発揮するらしい

ヤツらはその力を使って女王の復活を早めるつもりだ
ヤツらを追いかければあの白い魔族に会う事が出来るはずだ

そしてヤツらに「なみだのかけら」を奪われたこの国の姫――
「リリティアの棺」で行動を共にしたクレストソーサレスも一緒に行くと言い出した

確かに彼女ほどの高い魔力があれば助けになる
だが仮にも一国の主たる者が、国を離れて良い訳はない…

俺は反対した

だが彼女は自分の決意の表れを、その長い髪を切る事で俺に示した

こうして俺達の旅は始まった
女王の復活を阻止するべく、女王の心臓が封印されているとされるガーディアン像を追う

一つはセントセントール
一つはある人物が手に入れたと聞く

だが、どちらも一足違いで封印を解かれてしまった…

そしてその最後のガーディアン像を破壊したのが、赤い髪を靡かせる女型魔族――
彼女の使う武器は大鎌でこそあれ、その太刀筋は俺と同じ「早撃ち」を主体とするものだった

早撃ち―――それは俺の師匠であり、俺の守るべき存在だった
フェンリルナイツが一人「ソード」(剣)の名を持つ者が生み出した技

その技を使えるのは俺と、アイツしか居ないはずだ…

だがアイツはあの時――そう、あの時俺を逃がす為に犠牲になったはずだ
分かっているのに心の何処かでアイツが生きている事を願っている

だが…アイツが生きているとしたら――
俺の復讐はどうなる?俺は何の為に生き残ったんだ――?

いや…あの魔族がアイツである訳が無い
何より気位の高いアイツが魔族に屈する筈が無い!

俺達は復活した女王を倒すべく再び旅立った

前に向かって進まなければ、過去に捕らわれてしまう…
俺の行動を正当化する事が出来なくなる

そうやってがむしゃらに前に進んで行き、とうとう女王を打つ日が来た
女王を打てば魔族は滅びるだろう

ファルガイアに平和が戻る
そうすれば、フェンリルのみんなも救われるだろうか?

だが事態はそう上手くは行かなかった…

女王の配下である筈のナイトクォーターズが女王を裏切ったのだ
その中には、あの白い魔族と俺の心を乱す赤い魔族も居た

そしてヤツらもこのファルガイアを狙っていたのだ
無論それを許すわけにはいかない

再び戦いの火蓋が切って落とされた

その間何度かあの赤い魔族と相まみえる事があったが
その度にあの疑問が頭から離れない…それどころか確信を持つようになった

そしてその確信は現実となって俺の前に現れた

魔族がこのファルガイアの機能を停止させる為に
「なみだのかけら」を応用して作った「ダークネスティア」
生命の源となる「なみだのかけら」に対し、生命の活動を低下させる「ダークネスティア」
その力の根源となるのは生命を生み出す人間の女の身体―――
この時の為に記憶を封じられ、あまつさえ魔族の為に人々を手にかけてきた
赤い魔族レディ・ハーケン

俺が恐れていた通り、ハーケンは…エルミナだった

エルミナ・ニエット――
フェンリルナイツのソードの名を持つ俺の剣の師匠…そして俺が愛したエルミナ…

そのエルミナが今、ダークネスティアと一体化し
ガーディアンの血管と呼ばれるレイラインに向けてその力を開放する
レイラインを伝ってガーディアンの機能を停止させるのが目的だ

ガーディアンの力で辛うじて均衡を保っているファルガイア
その均衡が崩れると各地で異常が起こるはずだ

そんな事…させる訳にはいかない
何よりエルミナを解放しなければ…

無駄だと思いつつもダークネスティアに斬りかかる
あの時も守ってやれなかった…今度こそ助けなければ!
弾き飛ばされても何度も斬りつける

もう二度とエルミナを見捨てはしない!

不意にダークネステイァが砕け散った
中にはあの日から変わらないエルミナの姿があった

だがエルミナは俺を拒んだ…最後までレディ・ハーケンとして俺に立ち向かって来る
人間に戻る事も今なら叶うかもしれないのに…

守れなかった…エルミナを守るはずの俺は…守る事が出来なかった!

アイツは俺との一騎打ちを望んでいる…
すべての始まりであるアークティカで
不肖の弟子だが、それに答えてやらなくてはヴァンブレイスの名が廃る

そしてアークティカへと向かう―――

あの日から何一つ変わらないアークテイカ…あの日を思い出しながら城の奥へと進んで行く

「待たせたな…ここまで来るのに随分時間が掛かっちまったぜ」

そこにはエルミナが――いやレディ・ハーケンが背中を向けて待っていた
彼女がゆっくりと振り返る…

「あたしの手は血に汚れ、すでに引き返す事は…出来ない」

「それは俺も同じ事…」

そう…復讐という名目を傘に沢山の魔物を屠って来た
だが今は大切なものの為に引く訳にはいかない
ここで無様に剣を引こうものなら…アイツに笑われる
所詮ここまでの男だったのか…と。そして一生後悔するだろう
俺の胸には今でもアイツが…エルミナが居る。そのエルミナの為にも――

「ハーケン。お前はこの俺が…斬る!」

ハーケンは俺の台詞に満足そうに頷く

「あたしの全てはここから始まり、ここで終わりの刻を迎える…
 あたしの戦いは何も生み出さない代わりに何も失わせやしない戦いなんだ…
 たとえ魔に身を窶そうとも…な。

 来いザック…全てを捨てたあの日から、お前が掴んで来た「力」と共に!
 行くぞ!これがあたしの…「斬り姫」の戦装束だ!!」

そう言うと大鎌を振り上げ俺に向かって来た

エルミナと同じ太刀筋…だが俺が相手をしているのはナイトクォーターズのレディ・ハーケンだ
俺は迷う事無く剣を振り下ろす。今ある全ての力を使って!

そして長い打ち合いの末、俺の剣は俺の想いと共にハーケンの身体に吸い込まれていった

ハーケンが片膝を付く

「やっと…一人前の騎士らしい顔になったじゃないか…」

そう言うと、今まで意志の力で保っていたハーケンの姿からエルミナの姿へと戻って行く
俺は慌ててエルミナの身体を抱き支える

「お、おい!目を開いてくれ!」

俺の声に反応してうっすらと瞳が開かれる

「この城で散っていった騎士からお前宛ての言葉がある…聞いてくれるか?
 どんなに退屈でつまらない世界でも、ここはお前とあたしが出会った世界…だから、守って…」

そう言って目を閉じた。そしてその瞳は二度と開かれる事は無い
人間としての肉体を失い、魔族となったエルミナの身体が四散して行く…

やっと静かに眠る事が出来るだろう…

そして今日まで過去に捕らわれ、復讐の為に「絶対たる力」を求めて来た俺もここへ置いて行こう
これからはアイツの言う様にこの世界を守る為…未来の為にこの剣を振おう

復讐に燃える俺では手にする事が出来なかった「絶対たる力」
それは大切なものを守る為に今までの自分を越える力…
アイツが身をもって俺に教え、今やっと放つ事が出来た「勇気」の輝き

それが「絶対たる力」――

俺は再び歩き出す
全ての始まりであるここから…仲間と共に未来へ―――

今回はザックがハーケンと出会ってから決着をつけるまでのお話です。
最後のハーケンとザックの台詞はゲームから抜粋しました。
というか話全体がゲームそのものなので面白味ないですね…(汗)
でもこの後に書く(予定の)話とリンクしている(と思う)のであえて書かせて頂きました
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