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*「絶対たる力」を求めて* 巡り会い…そして
著:六道来飛
「ま、まさか……お前は…」

俺は自分の目を疑った


一週間ほど前、俺は捜し求めていた「絶対たる力」を手に入れた
それは過去を断ち切る事でようやく目覚めた勇気の輝き
そしてその輝きに呼応する様に「石の獅子王」が砕け
ガーディアンロードであるジャスティーンが復活した

ガーディアンロード――

ガーディアンの頂点に立つと言われる三体のガーディアン
ラフティーナ、ジャスティーン、ゼファー
彼らは衰退していくファルガイアと共にその力を失い、石と化している

そんなジャスティーンが俺の勇気に応え、俺達に力を貸してくれる
すでにラフティーナも覚醒していて、ゼファーを残すのみとなった

最後の戦いに向かう前にゼファーの復活を果たしたい…

そう思った俺達は希望の西風が吹くと言われる、バスカー集落を訪れる事にした
バスカー集落の祭壇にてラフティーナとジャスティーンの呼び掛けに応え
ゼファーが羽ばたく時の事を「希望の西風」と言う

そしてゼファーは俺達を認めてくれ
ここに三大ガーディアンロードが復活したのだ

この時、興味のある話を耳にした

この村の北西にある遺跡の事だ
そこは夢幻宮と呼ばれる誰も入る事が出来ない時空の輪の不思議な空間

八つの刻印柱によって施された結界は互いに干渉しあう事で
容易には解除出来ない仕組みになっているらしい

これはバスカー集落に長くから居る老犬から聞いた話だ

それだけの封印がされているなら、何かがあるのだろう
興味をそそられた俺達は夢幻宮を解除する為情報を仕入れる

結界の解き方は刻印柱を設置した順番を逆に辿っていけば良いらしい
そしてその結界を打ち消すモノは
用途が不明だった老渡り鳥から貰ったアイテムだろう
たしかそんな事を言っていたはずだ

あとは設置の順番を探せば良い
建造物なら何かしら記述が残っているだろう
記述…本と言えば封印図書館だ
俺達は早速封印図書館へ向かった

程なくして一冊の本を見つける
そこには刻印柱を建てた順番が記されていた
これを逆に辿れば結界が解ける

最後の戦いを前に出来るだけの事をしておきたい…
そんな想いからか俺達はすぐさま夢幻宮へと向かった

刻印柱の結界を解いてようやく夢幻宮に入る事が出来た
そしてそこには時空を司るガーディアンと一つの魂があった
人にあらず、魔にあらず…あらゆる次元に属さないさまよえる魂

それは見まごう事無きエルミナのものだった

魔族としての身体は朽ちても人の心を取り戻したエルミナの魂は
残留思念となってさまよっている

時空のガーディアン「ダン・ダイラム」は言う

「我が力にてかの魂を呼び寄せ、生命のガーディアン「オードリューク」の力にて
再び生を受ける事も今なら可能だ」と…

もちろんこのまま放っておけば転生する事なく未来永劫さまよい続ける事になるのだ

「頼む―――」

そして魔族であった事の記憶を消してもらう事にした

せっかく人として生きるのなら、魔族に利用され人々を手にかけていた事など忘れた方が良い…
それは同時に俺の事も忘れてしまう事になる

無論承知の上だ

今でもエルミナを愛している
人生を共に歩んで行きたいとも思っている

だがそれ以上にエルミナに辛い過去を知らせたくない
俺の事なんて忘れて良いから幸せに生きて欲しい…

「では記憶の大半を消し、ファルガイアへ転生させよう」

これで良い…良かったはずだ。なのに―――




「ま、まさか……お前は…」

間違い無く俺の目の前に立っているのはエルミナだった
何気に立ち寄った水の町ミラーマ
そこにあるパブで彼女との再会を果たした

「何だい?お客さん…あたしの顔に何かついているのかい?
あぁ昔の女に似ているって言うんだろ?安く見られたね。
口説く気があるならもうちょっとマシな台詞を…」

あの頃と何一つ変わらないその姿、その声、そして喋り方…

「…お客さん、いったいどうしたの?
鳩が豆鉄砲食らったみたいに驚いちゃってさ…あたし、変な事言ったかい?」

言われて我に返った

ここに居るエルミナは俺の知っているエルミナでは無い
俺の顔を見ても名前も知らない渡り鳥にしかすぎない
胸の奥が微かに痛む…俺が望んだ結果なのに

「…いいや、何でもない。気にしないでくれよ」

なるべく平静を装う

「ふーん。何だか訳ありって感じだね。それあたしに関係ある事なのかい?」

ドキリとさせる一言…内心気が気ではない…

「あたしさ…自分が何者なのか、ほとんど記憶を無くしていてね…
ま、良いんだけどネ」

名前が分からない事が不自由だと彼女は言った
仮の名前があるがしっくりこないらしい

「そういえばあんたの名前を聞いてなかったね…良かったら教えてくれない?」

「…ザック…ザック・ヴァン・ブレイスだ」

「あたしは…あははは…ゴメン。やっぱり名前が無いのは不便だよね」

エルミナへの想いを断ち切る為、一つのリボンを差し出した

「…このリボン……受け取ってくれないか?」

それはあの日――アークティカが陥落した日にエルミナから預かっていたリボンだ
必ず返す…その言葉を忘れない様に、ずっと自分の髪に結んであった
これであの約束も果たせた
後は俺がエルミナの事を思い出さなければ良い

「これは受け取れないよ」

そう言って彼女は俺にリボンを押し返した

「大切にしているんだろ?結び目が色褪せてる。思い出の品ってとこかな?
そんな大切なものを今日出会った女に渡すものじゃない」

相変わらず…

「説教好きだな…」

返されたリボンを見て思わず呟いてしまった

「…!?何か言った?よく聞こえないわよ」

「何でもねぇよ…邪魔したな。そろそろ引き上げるよ」

そう言って踵を返す
ここに長居していたらボロを出しそうだ…

「ザック!!」

呼び止められて不思議な違和感を感じる
それもそのはず…あの声で呼ばれていたのは今とは違う名前だったからだ

「また…来るんだろ?ザック・ヴァン・ブレイス。待ってるからさ…」

その言葉は正直嬉しかった
「気が向いたら…ま、そのうちな…」

そう言って再び彼女に背中を向ける
俺が望んだとはいえ…やはりアイツを目の前にすると
自分の気持ちを抑えられなくなる…
何もかも打ち明けてしまいたくなる

「良いのですか?彼女ここのマスターにプロポーズされたそうですよ」

パブを出てすぐ姫さんが俺に言った

「それがアイツの幸せなら…良いんじゃねぇか?」

それが俺が望んだアイツの未来――

「…分かってませんわね」

「何だって?」姫さんが何か言ったが俺には聞き取れなかった

「何でもありません。それより今日は一泊していきましょう。私、お腹が空きました」

そう言うなり俺たちの腕を掴んで宿に向かった

その夜―――

俺はなかなか寝つけなかった
最後の戦いへ向けての緊張感ゆえか…
昼間の姫さんの発言ゆえか…

おそらく後者だろう
自分がこんなにも女々しいとは思わなかった
アイツを思い出さなければ良い…
どんなにそう思い込んでも、昼間見たアイツの姿を思い出してしまう

少し頭を冷やす為に外へ出た
月明かりの中、夜風に当たりながら散歩する

「ザック?」

突然声を掛けられた
どうやらパブの方まで歩いていたようだ…
そこには月明かりに浮かぶエルミナの姿があった

「どうしたんだい?こんな夜更けに…」

「眠れなくて…な。あんたこそどうして…?」

「同じさ…実は良く眠れなくってね」

言われてみると昼間は無理して明るく振舞っていた様な気もする…

「恐いんだ…記憶の無い自分が
あたしは今まで何をしていたのか…もしかして人を殺めているんじゃないか…とか
そんな事を考えてしまうんだ…」

誰にも打ち明けられず、ずっとそんな事を考えている自分が恐い…
記憶を無くすとは、よほど思い出したくない事があるはず
それは何なのか?どんな事なのか?
たとえ思い出したくない過去でも、有るのと無いのとでは大きな違いがある

そんな事を言われて俺は返答に困った

こいつの過去は俺が奪った…
あんな辛い過去なら忘れてしまえる方が良いと思っていた
だが当の本人はそんな過去でも有る方が良いと言う

「たとえどんな事をしていようとも、あたしは自分のして来た事を受けとめる覚悟がある
だから自分の過去を探しに旅に出るつもりなんだ…まだずっと先の話だけどね」

その言葉を聞いて驚いた

「ここのマスターにプロポーズされたって聞いたけど…」

思わず気にかかっていた事を口にする
彼女は済まなさそうな顔をしてこう言った

「ありがたい申し出だったんだけどね…断ったよ」

心のどこかで安堵する自分が居る
何故――?と聞くのは野暮だろうか…

「いつも夢を見るんだ…でもそれは起きると忘れてしまう夢
あたしの無くしてしまった記憶が見せる夢なのか――
ひどく…もどかしくてね…」

誰にも打ち明けられない思いが俺を締め付ける
俺のした事は彼女を追い詰めるだけでしかなかったのか

「ごめん…こんな話して
でも何故だろう…あんたになら何でも話せる気がする」

それは彼女の過去に俺が関わっているからだろう
彼女の事を思えば過去を告げるべきでは無い

だが彼女が望んでいるなら――?

いや…今更言ったところで消えてしまった時間は戻らない
何もかも知っているのに、何一つ言えないでいる

「そろそろ戻るよ。聞いてくれてありがとう
少し…気が楽になったよ」

それじゃあ…と言って部屋へ戻る彼女の寂しげな背中を見て
思わず背後から抱き締め、彼女の名前を口にする

「エルミナ―――」

それを聞いた彼女が俺の腕の中で身を硬くする

「それは…あたしの…?」

口をついて出た言葉を止める事が出来ない

「エルミナ・ニエット…それがあんたの名前だ。
俺はあんたを知ってる。だが今は言えない…
明日…俺たちはファルガイアを賭けた最後の戦いに行く
だから帰って来るまで待っててくれないか?」

胸に秘めていた想いを一気に吐き出す

彼女は俺の腕にそっと手を当て、ゆっくりと頷き…

「待ってる…待ってるからさ…必ず帰って来て来てくれるんだろう?
ギャレット――」

それは俺があの日捨ててしまった名前

その名前を知るのはアークティカの生き残りである
俺自身と記憶を失う以前のエルミナだけ…

「どうして…その名を……」

抱きしめていた腕を緩め、俺は驚いて彼女を見やる

「あたしの名前さ…それがキーワードだったんだよ」

彼女は俺の腕から抜け、正面に立つ

「夢幻宮で魂としてさまよっていたあたしにも、意志はあったんだよ
あんたがあたしの事を思ってしてくれた事は分かってる。
でもあたしは…生まれ変わってもあんたと一緒に居たかった
一人でなら堪えられない過去でも…あんたとなら堪えてみせる。そう思って――」

そう思ってダン・ダイラムに記憶を操作される前に一つの条件を出したと言う

この先俺に会わなければ記憶は戻らなくても良い
だが、もし俺と出会って俺が彼女の名を口にした時
記憶を戻して欲しいと―――

そして俺は彼女の名を口にした

「あんたを裏切る様で悪いと思ったけど、あたしはあんたの事を忘れたくなかった
だから賭けたんだ。あたしを…守ってくれるんだろ?
ヴァンブレイスの名に掛けて」

そう言って涙を零す

彼女がそれほど俺の事を想っているとは思わなかった
俺の一人相撲だと思ってた
生前の彼女はそんな事を曖気にも出さなかったからだ

俺は彼女を抱き寄せた

「必ず守ってやるさ…このファルガイアと一緒に
だから泣かないでくれ。どうして良いか分からなくなる――」
そう言って頬に伝う涙を拭ってやる

エルミナは少し照れくさそうに笑った
「確かにあたしらしくないね…」
そしてその強い眼差しで俺の瞳の奥を見つめる

「今のあたしは何も出来ないけど、あんたを信じて待ってるから…」
そう言って俺に口付ける
約束の印だと言って……




翌日、ガーディアンの力が弱まった事で姿を現した古代の遺物
カ・ディンギルへ向けてミラーマを後にした
遥か昔、魔族との大戦時に造られたファルガイア脱出の切り札的兵器
俺たちが「新しい月」と呼んでいた人工の星「マルドゥーク」

そこにファルガイアを賭けた最後の戦いの場がある

俺の旅の始まりは差し違えてでも魔族を倒す事だった…
だが終わりを迎える今、生きて再びこの大地を踏みしめる為に星の海へ旅立つ

――――すべての人へ平和が戻った事を伝える為に――――

果たしてこういったものが受け入れられるのか?それは読んで頂く皆さんの好みの問題だと思います。
なにせ無茶苦茶私の願望の入ったモノに仕上っちゃいましたから…(汗)

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