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*忌まわしき力* 未来の可能性
著:六道来飛
突然、目の前に突き付けられた現実―――

信じたくは無かった…
だが、真実として受け入れざるを得ない。
自分が「造られし者」だという事を―――――


いつからだろう…
自分が同年代の子供たちと違う事に気づいたのは…
子供とは思えない程の力。
そして何より古代の遺産である「アーム」を使いこなす事が出来る。

アーム――

1000年前に物理魔法を応用して造られた機械。
その力は魔族の振るう力とほぼ同質で、魔族との戦いの為に使われていた兵器。
アームの持つ複雑な構造と精神的にシンクロできる者で無ければ扱う事は出来ない。

だが魔族の力に近いその力は、人々に忌み嫌われる存在となっている。
研究が進められてはいるが、人の精神は容易には変えられるものではない。

何故こんな力を扱う事が出来るのか?
何故人は忌み嫌うのか?

何度も疑問に思った事があった。
だが、その度に自分を育ててくれた祖父は語る。

「得てして人というのはそういう生き物――
自分に理解出来ない大きな力は災いを呼ぶと思い、排除しようとする。
力そのものに善悪など無い…あるのはそれを使う側の意識の持ち方だ。
良き心が使えば良き道へ…悪しき心が使えば悪しき道へ――
お前が扱う力は無限の可能性。それを良い方へ使えば人も理解してくれる」

祖父と過ごす時間は楽しかった。
色んな事を学び、吸収していく事の楽しさ。
そして何より、人の心の痛みを教えてくれたのは祖父だった。

だが、そんな祖父もいつしか衰えていき…
ついには帰らぬ人となった。

「人の為に…ファルガイアの為にその力を使えば
必ずお前の事を理解してくれる仲間が出来る。
人生とは辛いものかもしれないが、それを乗り越える事で自分の幸せを見つけられる。
だからロディ…決して悪しき道へ踏み外さぬ様に……」

それが祖父の最後の言葉だった。

祖父の遺体を大好きだったファルガイアの空に一番近い場所へ埋葬し
孤独な一人旅が始まる――

それは辛い旅だった。

初めはやさしくしてくれた人も、自分の持つ強大な力を見て恐れ慄く。
良かれと思って力を使っても、すべて裏目に出てしまう。

自分は…自分だってこんな力なんて要らない…
何度もそう思った。

この力の所為で人に嫌われるなら、力なんて要らない…
だが与えられた力を捨てる事など出来ない。

この力を必要としてくれる人が居るかも知れない。
その思いだけが自分を次の地へと歩ませる。
祖父の言葉を信じて―――

ある時も、封印されしモンスターを倒すべく「力」を使った。
その場に居合わせた人々は、自分の使う「アーム」に恐れ、自分を非難する。

いつもの事だった。

「アーム」を使う事は真実であり、渡り鳥という稼業ゆえ長く一所に留まれない。
そして次の地へ向けて荒野を行く…そんな事の繰り返し……

そして辿り着いた先は、ファルガイアにある最後の国家「アーデルハイド」

ここで初めて自分の力を必要としてくれる「仲間」と出会った。

それは、アーデルハイドで開催される
古代文明博覧会へ出展する発掘の調査依頼を受けた事から始まった。

その時一緒に行動を共にした人達が
今後自分にとって掛け替えの無い仲間になるとは思いもしなかった。

何故なら遺跡の発掘調査は難なく終わり
次の日にはまたそれぞれの旅に出るはずだったからだ。

だがこの日…運命と呼べる出来事が起こる―――
古の存在「魔族」がこの国を襲ったのである。

魔族―――

およそ1000年前、このファルガイアに突如現れ、恐るべき破壊力で
この地を支配しようとした異世界の住人。

彼らの身体構造は人と酷似しているが、中身は全く異なっていた。
鋼鉄の肉体を持ち、流れる血液は水銀で構成されていた。

当時ファルガイアにはエルゥと呼ばれる、亜人種が住んでおり
彼らの魔導技術により、魔族に対抗する「力」が造り出され
魔族は滅ぼされたはずだった。

自分が持つ「アーム」もエルゥが造り出した「力」
その「力」を今現在使う事が出来る。
時を同じくした魔族が復活しても不思議では無い。

だが今はエルゥと、その高度な魔道技術は無い。
自分が持つ「忌まわしき力」は、この日の為のものだったのかも知れない…

祖父が好きだったファルガイアを守る為にも、魔族と戦う事を決める。
そして遺跡発掘調査を共にした彼らも
魔族との何かしらの関係で一緒にこの地を旅立つ事になった。

それは長く苦しい旅だった。
だが今までと違って、同じ目的を持つ仲間が居たから耐えてこれた。

そして魔族の要である女王を倒すに至った―――

だが、それは女王の配下の裏切りによって成し得た事だった。
彼らもまたファルガイアを我が物にしようとしていた…

新たな戦いが始まる…

ある時、魔族はアーデルハイドを襲った時に使用した次元転移装置を応用し
そこに罠を仕掛けて待っていた。

これに捕らわれながらも、罠を掻い潜り、魔族の王を追いつめる。
追いつめられた魔族は自分達を道連れにするつもりで空間を歪ませ
一時的にブラックホールを作り出した。

その場を離れようとした自分の左腕を、逃がさんとする魔族によって捕らわれる。
振りほどこうと絡まったチェーンを切りつけるが
魔銀ミスリルで作られたとされるそのチェーンはびくともしなかった。
このままでは仲間と共に次元の狭間へ飲み込まれる…

―――咄嗟に自分の左腕を切り落とした。

自分一人なら何とかなるかも知れないが、仲間を巻き添えにしてしまいかねない
この状態を切り抜けるにはそうするより他に無かった。

それでも暴走させた装置からのブラックホールに飲み込まれる。
近くに仲間の存在を感じていたので心配は無かった。

安全な場所に辿り着くよう――
そう願った仲間の思いでアーデルハイドの近くに不時着できたらしい。
そして自分の切り落とした腕を治す為に、回復魔法をかけてくれた。

自分の身に起きた事を信じたく無かった……

回復魔法を拒んだ自分の腕…その切り口から覗く金属やコード類…
それらは魔族が持つものと同じだった!

自分が持つ「忌まわしき力」
それを扱う事が出来た自分の身体こそが「忌まわしき存在」だったのだ。

アームとの異常なまでのシンクロ率がそれを裏付ける…
人では有り得ないからこそ、何通りものアームを使いこなせる。

それが古に造られし「ホムンクルス」である自分なのだ…

祖父はこの事を知っていたのだろうか?
何故、神をも冒涜する存在である自分を育てたのか?
今となっては知る由も無い。

ただ言える事は、祖父だけが自分の味方だったという事だ。
傍に居ればやさしく守ってくれる…

突然目の前に突き付けられた現実を受け入れたくない思いから
過去の…一番幸せだった頃の夢を見る
祖父が居た頃の…

そこでは何も考えなくて良かった。
自分が余所者である事…
自分が人の手によって造られた事…
自分が…祖父以外の誰からも愛されていない事…

それらの不安な事をこの祖父は忘れらせてくれる。
ずっと…ここに居れば良い………

……ココニ居レバ誰モ俺ヲイジメナイ……


―――違う!!


不意に自分の思考とは違うものが流れてきた。

誰?起コサナイデ……


―――辛い事から目を逸らさないで、あなたは一人じゃない!


俺ガ……一人ジャナイ?ダッテ俺ハ………

―――あなたはあなた。他の誰でもないあなたの変わりなんて居ない、私たちの仲間よ。
     だから…帰って来て。みんなあなたを必要としているのよ…ロディ!

そうだ…逃げてしまうのは簡単だ。
だが、それを乗り越えなくては、自分の存在を否定する事になる。

祖父が自分を育ててくれた事も…
仲間が自分を助けてくれた事も…

帰らなければ…自分の場所へ

自分を必要としてくれる人の所へ―――――

気が付くと傍らに仲間の一人が眠っていた。
彼女が自分をここへ呼び戻してくれた。
ずっと眠っていたが、身体の何処かで彼女たちが自分の腕を戻してくれた事を感じる。

忌まわしき存在であるはずの自分を、仲間として受け入れてくれた。
自分の身体を何も恥じる事は無い…

自分の身体は造られしものだが、心は違う。
自分で感じた事を吸収し、自分自身で築いてきた。
祖父と仲間たちと共に…

だからこそ今の自分がある。

ファルガイアを守りたい気持ちは誰かが造ったものでは無い。
自分の気持ちそのものだ。

だから戦おう。自分の持てる力を使って…
この世界を守る為に、この美しい星を守る為に

窓辺から見える朝日を眺め誓う――

荒野と化したファルガイアを緑溢れる世界に戻す為にも
魔族に渡してはいけないと…

自分の持つ「忌まわしき力」を「未来の可能性」に変えて………




背後で彼女が目を覚ます気配を感じた。


「おはよう……セシリア」

前回のザックの話を書き終わった直後にこの話が降りてきました。
書いてて…切なくなってしまいました。
ロディは無口なのでどう思っているのか…表現が難しかったです。
おいしいところで終わってしまったのは仕様です。(笑)楽しみにされた方(何を?)ごめんなさい。
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