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*新たなる生命へ…* ヴァレリアの悲しみが浄化される瞬間
著:六道来飛
光が見える…
暖かく…包み込むような光…

その光が近づいてくる。
いや、自分が引き寄せられているのかも知れない…

気が付くと光の洪水の中に居た。

ここは何処だろう…?
ファルガイアで無い事は確かだろう。

ファルガイア―――
私が愛した美しい星。
その星が目に見えない未知の存在に犯されている事に気付いた私は
ありとあらゆる手段を用いて、その存在を滅ぼそうとした。

目に見えない存在にダメージを与える事は不可能だった。
そこで降魔儀式を応用して、肉体の器にその存在を捕らえ、その肉体ごと葬る…

そしてその捕らえておくべき肉体の器は
私の半身である双子の妹アルテイシア…
彼女をこの様な運命に引き込んだのは、私と同じ星の下に生まれたからだろうか?

私が今まで行なってきた卑劣な事も、これから行なうべきであろう事も問わず
ただ、自分に与えられた使命を受け入れてくれたアルテイシア…

その妹の肉体に滅ぼすべき存在を降魔させ
そして私の肉体をも一緒に取り込んだその存在を
私がファルガイアを託した仲間達に屠ってもらう…

自己犠牲…と言われても無理はないだろう。
それでも…他に方法があったとしても
私はその道を選び、ファルガイアの為に、ファルガイアの地を離れる事になった。
だからこの場所がファルガイアで無い事は間違いない…

「そう……ここはファルガイアでは無いわ」

声のした方を振り向くと一人の女性が立っていた。

「あなたは…」

彼女は私の祖先であり、はるか昔ファルガイアの危機を救った剣の聖女であった。

彼女の姿を見た事は無いが、彼女を知る人が残した記述などで、その容貌を知っていたからだ。
それに剣の聖女の血族には左目の下にホクロがあるとされた。
私や妹にはもちろん、彼女の左目にもそれを認める事が出来た。

「ずっと会いたいと思っていたわ…私の子孫に。
そして重荷でしかない剣の聖女の名を残してしまった事を、お詫びしたかった…」

彼女は剣の聖女の名は重荷だと言う。
確かに剣の聖女と言えど、ただの人間だ…

だが…
「私は重荷だと思った事などありません。
私にとってヴァレリアの名は誇りなのです。」

「でも、ヴァレリアの名の為に、あなたやあなたの妹が犠牲になってしまった…
そんな事……私は望んでいなかったのに…」

「いいえ…たとえヴァレリアの名を継いでいなくても、私は同じ行動を取っていたでしょう。
ファルガイアが好きだから…ファルガイアの為に役に立てたのなら…
私は犠牲だとは思いません。むしろ未来への礎だったのです。」

すると彼女はくすくすと笑い出した。

「いつもそんなに堅苦しい口調を使うのね…」

「幼い頃から大人を相手にしていた所為ですよ。」

確かに自覚はしていた。
だが面と向かって言われた事など無いので、言い訳じみた事を言ってしまう…

「でも…そう言ってもらえると嬉しい…
剣の聖女の子孫と言っても、ただの人間でしかないのに…
私の重すぎる名の所為で犠牲になったとしたら
私はあの時、ロードブレイザーを封印しなければ良かったと思っていたわ…」

彼女が生きていた時代に、ファルガイアを襲った焔の厄災ロードブレイザー。
当時は彼女の持つ聖剣アガートラームでさえも、とどめを刺せなかった…
だから彼女は自らの命と引き換えにロードブレイザーを封印した。
そうしなければファルガイアは死せる星になっていただろう。

そのロードブレイザーも降魔儀式によって、現代に蘇ったが
ロードブレイザーを内に封印していた青年と
私達やファルガイアに生きる総ての人々の想いの力で討ち果たす事が出来た。

危機を脱したファルガイアはゆっくりと修復されて行くだろう。
惜しむらくは、その場に私が居ない事だ…

「あなたも…平和になったファルガイアに戻りたい?」

私の心を見透かしたのか、彼女が問うた。

「戻れなくて良い…と言えば嘘になりますが、今のままでも満足しています
ただ…私のわがままで巻き込んでしまった妹には、転生して欲しいですが…」

「じゃあ、ついていらっしゃい……」

そう言われて彼女について行く。
今まで光によって見えなかったが、彼女の行く手には大きな建物があった。

「ここは此方と彼方の狭間…アナスタシアの居る世界よ。
以前アシュレー君も、ここを通ってファルガイアに帰って行ったわ。」

宇宙空間に投げ出されたアシュレーが無事だと分かった時
彼女が助けたであろうと推察していたが…
この場所で同じように会話したのだろうか?

「あなたは自分の意思でここに留まっているのですか?」

「ええ…そうよ」

ロードブレイザーを倒せず封印しただけの状態に不安を抱いてたのだろう…
いつか封印が解ける日が来る…その時の為に彼女は転生する事なく
ここに留まっていたのか…

建物に近づくにつれ…その入口に人影がある事に気付く。

「アルテイシア…?」

「そう…彼女も少し前にここへ来ていたの。だからここで待っててもらったわ。」

「アナスタシアさん…兄さま、お帰りなさい。」

アルテイシアは私と剣の聖女の姿を認めると安心したように微笑んだ。
そして三人で少し薄暗い建物の中へ入って行く。

「ここは私とファルガイアを結ぶ唯一の道よ…
あなたたちの身体はもう無いから、ここで今までの記憶を洗って無垢な魂になって
ファルガイアへ帰って行くの…ほら、あの光に向かって……」

彼女の指した方向には一筋の光が見える。

「これが私に出来るあなたたちへの償い…
あなたたちは平和なファルガイアで、終わらせてしまった人生を再び生きていくのよ。」

「あなたは…あなたはどうするのです?
これからもずっと、一人でここに居るのですか?」

彼女が罪の意識を感じてここに存在しているのなら…
誰がその罪の償いの終わりを告げるのか?

「それが私の望んだ事よ…」

彼女はそう言って…笑った。

「…私と一緒に帰りましょう。
あなたの罪は償われているはずですから。」

そう言ったのはアルテイシアだった。
アルテイシアも私と同じ事を思っていたのだろう。

「でも、私はあそこに居てはいけないの…」

渋る彼女の手をアルテイシアが取る。

「私たちの魂が無に帰るなら…同じ血と名を持つあなたも一緒に帰れるはずです。」

「あなたは充分に役目を果たしました。
もう、ここに居る必要はないはずです…」

私もその手を取り剣の聖女を導く。

「本当に…私が帰って良いの?私が自分で望んだ事なのよ。だから…」

「誰に咎められると言うのです。あなたはファルガイアに必要なのですから。さぁ…」

そして剣の聖女と私たちは光に包まれた。

私たちの記憶は浄化され、無垢な魂となって再びファルガイアの地へ降りる。
剣の聖女と共に…

そしてアナスタシアの居る世界には、誰も居なくなった―――




「おめでとうございます!男の子と女の子、双子の赤ちゃんですよ。
さぁ、中に入って挨拶して下さい。」

たった今父親になった青年が、顔に緊張の色を浮かべて部屋へ入って行く。
中には子供を産むという大役を果たした妻と
初めて見る我が子たちが居た。

「ありがとう…良く頑張ったね。」

青年は自分の妻に労いの言葉を掛ける。

「それより、ねぇ…子供たちに挨拶してあげて…」

言われて子供たちを見やる。
先程は元気な産声を上げていたが、今は二人ともぐっすり眠っている。

「初めまして…なんだか照れくさいな…」

まだ父親としての実感が湧かないのか、妙に照れくさい。

「名前…色々考えてたけど、必要無くなったね。」

「ええ…そうね。私もそう思ってたわ。」

二人は同じ名前を心に浮かべた。
それはファルガイアの為に早々と人生を閉じてしまった双子の兄妹。
彼らが歩めなかった人生を我が子を通して
この平和になったファルガイアで生きて欲しい…
そんな願いを込めて二人は自分の子供たちに彼らの名前を授ける。

このファルガイアを守り、平和をもたらしてくれた人達に感謝を込めて――――<

今回はヴァレリア家の人達のお話でしょうか?
一応私が以前に書いたアーヴィングとアルテイシアの話の続きと言うか…完結編と言うか…
彼らが某夫婦(笑)の元に生まれ変わったと思わせるEDを見て(多分間違いないでしょうけど…)アナスタシアは?
彼女はロードブレイザーが居なくなった今もずーーーっと一人であそこに居るの?と疑問に思いました。
そんな訳でアナスタシアも平和なファルガイアを味わってもらおうと思いこの話を書いた次第です。
アナスタシアとアルテイシアのミドルネーム同じなんですよね…
だから二人は一つになって…いや三人は一つになってちょっと容量多いから二つに分かれたと思いたい!
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